ゲスト 一般社団法人プラスケア 代表理事 西智弘先生
各地のデスカフェ実践事例紹介|Death Cafe Week 2020以降の経過報告
各地のデスカフェ実践事例紹介|新たに取り組みを始めたデスカフェ
「どせばいいカード」すごく深いのに、楽しい!
親や配偶者のことが心配な人には、不可欠。
(デスカフェサミット2022の「どせばいいカード体験会」体験記)
このカードのお披露目会では、カードゲームにちゃんと青森弁も入れてくれたから、とっても面白かった。でも、大切なその人のこと、どこまでも私はわかっているのたろうか。結局、私が最後はこうあってほしいという希望でカードを選んでいるのではないか。本人の意思や希望に沿った、いちばん本人らしいお別れを叶えるには、もっともっと自然に話す時間を持っておかないと。それに気づかせてくれたのは、二人称で考えるこのカードだから。
読者の皆さんも、親や配偶者などが医療や介護のお世話になることになり、いきなりACP(人生会議)に立ち会うことになった時のことを考えると、やっぱりご本人の希望や意志を前もって話しておいてほしいと漠然と考えているかもしれませんが、それがいかに漠然とした思いだけにとどまっているかに、ビシッと気づかされるのがこのカードゲームかもしれません。
どんな医療やどんなケアがいいのか、と巷ではよく言われますが、それを選ぶためにこのカードは
さまざまな方面から考えさせられます。それぞれ違う、一人の人間としてしっかり理解したうえで治療に当たってくれる医師がいいのか、信頼できる専門医がいいのか、とれとも、めんこい(優しい)看護師さんがそばにいてくれるのがいいのか。熟達したケアマネが必要なのか。誰にいてほしいかだけでも、まだまだ多い選択肢から1枚を選ばなければなりません。そこまで具体的なこと、なかなかイメージしたことがないと思いませんか?
そんな中から、二人称のあの人の本当の気持ちで選ぶには、何回も何回も会話を重ねて、しかも、その人のその時の心と体の状態をきちんと知っておかなければ、難しいですよね。でも、いきなり人生会議をしてみたところで、「いい先生に診てもらいたいよね」ぐらいの漠然とした会話にしか、ならないと思いませんか? それじゃあ、「そうだね」で話が終わってしまいます。
だから、実のある人生会議なんて、現実的にはそう簡単にできるものじゃないのかもしれない。
このカードゲームを何回も繰り返しているうちに、きっとわかるのは、「もしもの時に自分が困るから話しておいてもらいたい」のではなく、本人の気持ちなんて本当はわからない。だから、「もっと知りたい」と思える気持ちが自然に湧いてくること。「もっと知りたい」と思った時に、その人は本当に大切な人になり、相手を尊重し、大切にできる “いい家族”、 “いい関係”が育つのではないでしょうか。それが、このカードゲームのすご~く深いところの気がします。
カード制作チームの三思園の皆さま、そして体験会をリードしてくれた高橋看護師長、ありがとぅございました! (萩原真由美 編集者・医学ジャーナリスト)
2022年11月19日(土)オンラインで開催した、デスカフェサミット2022「デスカフェの社会における役割を考える」は、医療・介護・宗教職・行政職・様々な活動クリエーターなど、実に幅広いフィールドの人が集まり、5時間にわたる長丁場のあいだ、熱いエネルギーを発信し続けながら終了した。
プログラム①は、【どせばいいカード体験大会】。青森県の特別養護老人ホーム三思園の「ACP(人生会議)推進委員会」が開発した、一人称と二人称の2通りで行える “もしもの時”を考えるカードゲームのお披露目体験会では、青森弁のユニークな表現に触れながら、自分のことを考えるより、大切な人のこと考え、カードを選ぶほうが迷い、悩むことを実体験。いつか、またはある日突然、家族や大切な人のACP(人生会議)に立ち会う時の、心の準備のスタート地点に立った取り組みとなった。
プログラム②は、【デスカフェ主催者によるフリートーク】。プログラム①の感想を交えながら、現在のACPや人生会議の現状と課題について、およびデスカフェの機能について討議を行った。ゲストの腫瘍内科・緩和ケア医である西智弘先生(一般社団法人プラスケア代表理事)から提示された3つの視点をもとに、深くてバラエティに富んだ議論が展開された。(3つの視点と議論の内容については、後日公開予定のYouTube動画にて、ぜひご確認ください)
プログラム③は、【各地のデスカフェの実践事例紹介】。デスカフェサミット活動の起点でもあった2020年の「Death Cafe Week」以降にスタートしたデスカフェ4団体、それ以前より実践が続いているデスカフェの中から経過報告として5団体の動画が流された。北海道から九州まで、全国各地でより一層、色とりどりのデスカフェが楽しく広まっていた。
しかし、その一方で今回は、私たちはみんな同じところを見ている、ということも再認識する機会でもあった。それは「死を学ぶことは、生きること学ぶこと」と、我が国のデスエデュケーション教育の旗手、アルフォンス・デーケンが唱えた原点を、話し合ったわけでもないのに共有していることである。デスカフェサミットは、決してテーマのもと、○○宣言を出す活動ではない。話した人、聞いた人、それぞれの思いを持ち帰ればよいだけである。それなのに、大きな共通点が暗黙のもとに見つかる、大切な一日でもあった。
(文責 萩原真由美 編集者・医学ジャーナリスト)
★★デスカフェサミット2022 二人称で考える“もしも“の話(どせばいいカード体験大会)★★
死についてケーキやお茶を片手に語る場「デスカフェ」。スイスで始まり、イギリスで広まり、世界70ヵ国で行われており、国内でも様々なタイプのデスカフェが行われています。
2020年にはデスカフェ見本市として、オンライン上で国内のデスカフェが、それぞれのデスカフェを開催するデスカフェオンラインサミット(Death Cafe Week 2020)を行いました。2年ぶりに、国内のデスカフェが一同に会して行うオンラインイベントを11月19日の土曜午後に開催します。今回はわたし達のカフェ仲間でもある青森の特別養護老人ホーム「三思園」が企画、制作された、人生会議をみんなで楽しく行うための【どせばいいカード】のお披露目&体験会を兼ねたイベントになります。みなさんのご参加お待ちしております。
デスカフェの社会における役割を見つめる 死をカジュアルに語る場「デスカフェ」は世界的な広まりを見せ、国内においても2020年にはデスカフェ見本市として、オンライン上で一週間にわたりデスカフェオンラインサミット(Death Cafe Week 2020)を開催、延べ400人以上の参加者を得ました。
そして、翌年の2021年にはデスカフェ主催者たちが協力し、「デスカフェ・ガイド」を刊行。サミット、ガイドブックを参考に、新たなデスカフェも多く生まれています。
このような推移を経て、本年2022年度は、二人称の死で考える対話ツールとして誕生した【どせばいいカード】の体験大会を企画しました。ACP(人生会議)の必要性と、在宅看取りに関する心構えが大切になっている今、今までに無かった二人称版の体験は、ささやかながら時代のニーズに応えられることではないかと考えております。また、これからの看取り時代とデスカフェをテーマにしたトークセッションには腫瘍内科及び緩和ケア医でもある一般社団法人プラスケア代表理事の西智弘さんをゲストにお迎えして、多死社会に向けたデスカフェの役割についても考える機会に出来ればと思います。お申し込み先はこちら
あなたは、万が一に備え、大切な方の想いを聞いたことがありますか?そして、あなたは想いを伝えたことがありますか?あなたの葛藤、後悔を少しでも減らすことが「どせばいい?カード2人称」ができるかも知れません。楽しく、気軽に「ACP(人生会議)」の疑似体験をはじめてみませんか?デスカフェ・サミット2022でお待ちしています。
西 智弘さん(Nishi Tomohiro)一般社団法人プラスケア代表理事
中原区内在勤の医師。2005年北海道⼤学卒。室蘭⽇鋼記念病院で家庭医療を中⼼に初期研修後、川崎市⽴井⽥病院で総合内科∕緩和ケアを研修。その後2009年から栃⽊県⽴がんセンターにて腫瘍内科を研修し、2012年から中原区在住。⽇本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専⾨医。